監督 ピーター・ジャクソン
脚本 ピーター・ジャクソン 、フラン・ウォルシュ 、フィリッパ・ボウエン
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 ナオミ・ワッツ 、ジャック・ブラック 、エイドリアン・ブロディ 、トーマス・クレッチマン 、コリン・ハンクス
こんなに泣いてしまうなんて! ハンカチを1枚しか持っていかなかったのが、ほんとに不覚だったのでした。キングコングは過去何作も作られているが、私にとって、これが初めてのキングコング体験。いろいろな要素の詰まった作品だけれど、最終的にはコングとアンの恋物語なのだと思う。よくある、ペットと人の関係にも似ているが、言葉を媒介としない意思疎通によって出来上がった結びつきは、強固である。人間同士は、裏切ったり、心変わりしたりもするが、アンとコングには、絶対的な信頼関係がある。ただ、コングがペットと違うのは、当初アンがコングの住む世界に入り込んだために、動物の立場のコングが常にアンを庇護している点だ。最初こそ、コングを怖がるアンだが、恐竜の攻撃から何度もコングに救われ、いつしかコングの手のひらの中で安心して眠るようになる。私は、このシーンが一番好きだ。
さらに、コングや恐竜達のリアルさ!CG技術の最先端を見たような気がする。首が長い草食恐竜の巨体が、物凄いスピードで動くのは、物凄すぎる迫力だ。映画館では静かに座っていなければいけないと、幼い頃に父に教わったのに、何度も「わぁ!」と声をあげてしまった。
恐竜に負けず個性的だったのが、アンを騙して、謎の無人島に映画を撮りに行く撮影団の監督さんだ。巨大生物に追われて、命がけで逃げる最中も、撮影機材を手放さず、汗だくになりながら恐竜にカメラを向け続ける彼は、報道カメラマンの鏡!と言いたいけれど、可笑しさが漂う。カメラが壊れると、彼はコングを生け捕りにしてニューヨークへ運び、見世物にすることを思いつく。この発想力と行動力。ちょっとあくどいけれど、アンの恋人の、どこか線の細い印象の脚本家と比べたら、監督の方が男性として魅力がある、と思うのは私だけだろうか。
同監督の「ロード・オブ・ザ・リング」より、私はこちらの方がずっと好きである。また、恋愛物語として見ても、「オペラ座の怪人」と同じくらい感動できる。ファンタジー好きな方にも、恋愛映画が好きな方にも、そして怪獣映画ファンにも、お勧めしたい作品です。
お勧め度★★★★★